不動産売買契約書は、取引の内容を形式的にまとめた書類ではありません。売主と買主が合意した条件を明文化し、後から確認できる状態にするための重要な書類です。
契約書に記載された内容は、口頭での説明よりも優先される場面が多く、記載の仕方や文言の違いが、解釈の差につながることもあります。主要項目の意味を理解したうえで目を通すことが重要だと思います。
売買の当事者に関する項目
売主・買主の表示
契約書の冒頭には、売主と買主の氏名や住所が記載されます。個人か法人か、共有名義かどうかなどによって、責任の所在や手続きの進め方が変わるため、表記に誤りがないかを確認しておく必要があります。
登記名義と契約書の名義が一致しているかどうかも、あわせて確認しておきたいポイントです。
売買対象不動産の表示
所在地・地番・家屋番号
売買の対象となる不動産は、住所ではなく、登記簿上の表示で特定されます。土地であれば地番、建物であれば家屋番号が記載されます。
普段使っている住所表記と異なる場合もあるため、「どの不動産を売買する契約なのか」が正しく特定されているかを確認することが大切です。
敷地や建物の範囲
一部の土地や付属建物が売買対象に含まれるかどうかは、契約書の記載で判断されます。駐車場、物置、専用庭などが対象に含まれるかは、図面とあわせて確認しておく必要があります。
売買代金と支払条件
売買代金の総額
売買代金の総額は、契約の根幹となる項目です。税込か税別か、消費税がかかる部分とかからない部分の区分も含めて確認しておくことが重要です。
支払方法と支払時期
手付金、中間金、残代金といった支払いの内訳と、それぞれの支払時期が記載されます。いつ、いくらを、どの方法で支払うのかが明確になっているかを確認しておく必要があります。
手付金に関する項目
手付金の性質
契約書には、手付金が解約手付として扱われるかどうかが記載されます。解約手付の場合、一定の条件下で契約を解除できる仕組みが設けられています。
手付解除が可能な期間
手付解除が可能な期間は、契約書で具体的に定められます。この期限を過ぎると、解除の扱いが変わるため、日付まで含めて確認しておく必要があります。
引き渡しと所有権移転に関する項目
引き渡し日
物件の引き渡し日が明確に定められているかを確認します。引き渡し日は、残代金決済や登記手続きと連動するため、資金計画や引越しの予定にも影響します。
所有権移転の時期
所有権がいつ移転するかは、登記のタイミングと関係します。多くの場合、残代金決済と同時に移転する形が取られますが、契約書の記載を確認しておくことが重要です。
契約解除と違約金に関する項目
契約解除が認められる場合
契約書には、どのような場合に契約解除が可能かが記載されます。ローン特約による解除や、債務不履行による解除など、解除の種類ごとに条件が異なります。
違約金の定め
契約違反があった場合の違約金についても記載されます。違約金の金額や計算方法が明確になっているかを確認しておくことが重要です。
特約事項
個別事情を反映する項目
特約事項には、物件ごとの事情や当事者間の合意内容が記載されます。設備の修補条件や測量の有無、引き渡し時の状態などが定められることがあります。
特約の優先順位
特約事項は、一般条項よりも優先して適用されるケースがあります。そのため、本文だけでなく、特約部分まで含めて内容を確認しておく必要があります。
契約書を読む際の考え方
契約書は、一語一句を暗記するためのものではありませんが、「どこに何が書かれているか」を把握しておくことが重要です。
不明点があれば、契約前の段階で確認し、説明を受けた内容と契約書の記載が一致しているかを照らし合わせておくことで、後からの行き違いを防ぐことにつながります。