住宅を購入する際には、物件価格だけでなく、さまざまな諸費用がかかります。予算を組む際には、こうした費用を含めて全体の資金計画を立てておくのが安心だと思います。ここでは、住宅購入時に必要となる主な諸費用と、それらを見越した予算設定の考え方について紹介します。
購入時に必要な主な諸費用
住宅購入に伴う諸費用は、大きく「購入手続きに関する費用」「住宅ローンに関する費用」「税金や保険料」などに分類できます。以下では、3,500万円の物件を例にとって、それぞれの費用の目安を示します。
1. 仲介手数料
不動産会社を通じて購入する場合、仲介手数料が発生します。上限は「物件価格×3%+6万円+消費税」です。
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例:3,500万円の物件なら
⇒ 3,500万円 × 3% + 6万円 = 111万円(+消費税)
2. 登記関連費用(所有権移転・抵当権設定など)
司法書士に依頼して登記を行うための報酬と、法務局に納める登録免許税が含まれます。
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例:登記関連費用の目安は15~30万円程度(物件やローン内容による)
⇒ 所有権移転・抵当権設定の登録免許税:およそ10万円前後
⇒ 司法書士報酬:およそ5~10万円
3. 印紙税
売買契約書に貼付する印紙の代金です。契約金額に応じて税額が定められています。
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例:3,500万円の契約書 → 印紙税は1万円(軽減措置適用時)
4. 火災保険・地震保険料
火災保険への加入は、住宅ローン利用時に必須となるケースが一般的です。
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例:火災保険(10年分一括)+地震保険 → 約15万円~30万円
※保険内容、構造、立地条件などによって差が出ます
5. 固定資産税・都市計画税の清算金
売主がその年の税をすでに支払っている場合、引き渡し日以降の分を日割りで精算します。
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例:年額12万円の固定資産税+都市計画税の場合、
4月に引き渡し ⇒ 買主負担分:約9万円程度(9ヶ月分)
6. ローン関連の諸費用
住宅ローンを利用する場合、以下のような費用が発生します。
・ローン事務手数料
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例:定額型なら33,000円程度、定率型なら借入額×2.2%など
・ローン保証料
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借入額の約2%程度が目安となるケースが多いです
例:3,000万円の借入 ⇒ 約60万円
※最近は保証料不要・金利上乗せ型も選べます
・団体信用生命保険(団信)
金利に含まれているケースが一般的ですが、金利上乗せでがん保障などを付加する場合は月々数千円の差が生じます。
諸費用の総額目安
上記を合算すると、3,500万円の住宅購入で想定される諸費用は以下の通りです:
項目 | 目安金額(概算) |
---|---|
仲介手数料 | 約111万円 |
登記・司法書士報酬 | 約20万円 |
印紙税 | 約1万円 |
火災・地震保険料 | 約20万円 |
税金清算金 | 約9万円 |
ローン関連費用(保証料等) | 約60万円 |
合計 | 約220万円 |
諸費用の総額は物件価格の**6~10%程度が目安といわれていますが、今回の例では約6.3%**に相当します。
予算設定の考え方
総予算のフレームを考える
住宅購入では「物件価格+諸費用=総予算」として資金計画を立てるのが基本です。たとえば、総予算を3,700万円に設定し、諸費用が220万円と見込まれる場合、物件価格の上限は3,480万円ほどに抑える必要があります。
ローン返済と家計への影響
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返済比率(返済負担率)は、年収の25~30%以内が一つの目安とされます
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将来の教育費や老後資金なども踏まえ、余裕のある返済計画にしておくのが望ましいと思います
頭金の設定
頭金を多く入れると借入額を抑えることができ、月々の返済負担も軽減されます。無理のない範囲で現金を用意しておくと安心です。
まとめ
住宅購入にかかる費用は、物件価格だけではありません。諸費用として200万円を超える出費が発生することもありますので、初期段階から総予算に含めておくのが現実的です。
見積もりを取ることで、各費用の内訳を明確にできますし、ローンの条件によっても変動する部分があります。信頼できる不動産会社や金融機関と相談しながら、自分に合った予算計画を立てるのがよいのではないかと思います。