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投資判断に使えるNPVとIRRとは

不動産投資を検討するとき、利回りだけで判断するのが難しい場面があります。長期で見たときのキャッシュフローや、投資としてどの程度の価値があるのかを整理したいときに役に立つのがNPVとIRRです。

投資の採算性を定量的に把握しやすい指標で、家賃収入と売却益の両方を考えたうえで、最終的に期待利回りを満たすかどうかを確認する目的で使われています。金融分野で広く使われていますが、不動産でも応用しやすい考え方だと思います。

NPVとは何か

NPV(正味現在価値)は、将来のキャッシュフローを割引率で現在価値に換算し、初期投資額を差し引いた値です。割引率は「投資家が期待する利回り」を表しており、この基準を上回る場合にNPVがプラスになります。NPVがプラスであれば、期待利回りを上回る収益が見込めるという考え方です。

NPVの計算式

NPV = 将来キャッシュフローの現在価値合計 − 初期投資額

IRRとは何か

IRR(内部収益率)は、その投資のキャッシュフローがNPV=0になる割引率を表します。要するに、投資全体として何%の利回りになるのかを示す指標です。IRRが期待利回り(割引率)を上回っていれば、投資として魅力があると言えます。

売却益を含めた“現実的にプラスで着地する”投資モデル

不動産投資では、運用中の家賃収入だけでは初期投資を回収しきれないことが多く、売却益を含めて収支を考えるほうが実情に近いです。ここでは、10年間の運用と売却をセットにした、比較的わかりやすいモデルケースを使ってNPVとIRRを確認してみます。

初期条件

  • 初期投資:10,000,000円
  • 年間純利益(1〜9年):1,200,000円
  • 10年目純利益:1,200,000円
  • 10年後の売却益:6,000,000円
  • 割引率(期待利回り):6%

キャッシュフローの構成

キャッシュフロー
0 -10,000,000
1 1,200,000
2 1,200,000
3 1,200,000
4 1,200,000
5 1,200,000
6 1,200,000
7 1,200,000
8 1,200,000
9 1,200,000
10 7,200,000

ExcelでNPVとIRRを計算する手順

Excelの関数を使うと、NPVとIRRを簡単に計算できます。何年目のキャッシュフローがどこに入るかを固定しておくと、別の物件を比較するときにも応用しやすくなります。

Excel入力例

キャッシュフロー一覧(A列・B列)

セル キャッシュフロー
A1 キャッシュフロー
A2 0 -10000000
A3 1 1200000
A4 2 1200000
A5 3 1200000
A6 4 1200000
A7 5 1200000
A8 6 1200000
A9 7 1200000
A10 8 1200000
A11 9 1200000
A12 10 7200000

割引率・計算式(C列・D列)

セル C列 D列(計算式)
D1 割引率 0.06
C3 NPV(1〜10年) =NPV($D$1, B3:B12)
C4 NPV(最終値) =NPV($D$1, B3:B12) + B2
C6 IRR =IRR(B2:B12)

計算結果のイメージ

NPV(1〜10年) ¥12,182,473
NPV(最終値) ¥2,182,473
IRR 9.4%

このモデルでは、売却益が600万円あるため将来キャッシュフローの現在価値が高く、NPVはプラスになります。IRRも期待利回りの6%を上回っており、投資全体として一定の収益性が確保できていると判断できます。

NPVとIRRの活用ポイント

NPVとIRRはあくまで判断基準の一部ですが、家賃収入・売却益・借入返済の全体像を把握して不動産投資の価値や収益性をより多面的に考えるうえで役立ちます。利回りの数字だけでは判断が難しいケースでも、将来のキャッシュフローを踏まえた評価ができるため、購入前の検討や比較に取り入れておくと安心だと思います。それぞれの物件で将来の数字を検討し、期待利回りと比較しながら投資判断を進めていく方法が現実的です。

reona: