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再開発エリアでの不動産投資は本当に有利?

都市部を中心に再開発が進んでいるエリアは、メディアでもたびたび取り上げられ、不動産投資の観点からも注目されやすい傾向があります。

新しい駅ビルの建設や商業施設の整備、高層マンションの供給といった動きがある地域には、人の流れが生まれやすく、将来的な資産価値の上昇を期待する声もあります。ただし、必ずしもすべての再開発エリアが「投資に有利」と言い切れるわけではないため、慎重な見極めが必要だと思います。

再開発エリアの特徴とは

再開発は、老朽化した建物やインフラを取り壊し、新しい都市機能を持つ施設へと更新する都市整備の一環です。駅前の再開発や複合施設の建設、大型マンションの誘致、区画整理などが主な例として挙げられます。国や自治体が主体となって進めるものも多く、インフラ整備や生活利便性の向上がセットで進むため、居住地としての魅力が増す点が注目されています。

特に東京23区内では、品川駅周辺や高輪ゲートウェイ、虎ノ門エリアなどで大規模な再開発が進行中で、企業の集積や人口増加が期待されています。こうした場所では、将来的な賃料上昇や地価の上昇に伴って、投資対象としての価値も上がる可能性があります。

メリット:資産価値の上昇が期待できる

再開発エリアの魅力としてまず挙げられるのが、資産価値の向上です。周辺環境が整備され、利便性が高まることで、物件価格や家賃水準も上昇しやすくなると考えられています。

実際、再開発前と後で土地の評価額が2倍以上になった例もあり、キャピタルゲインを狙いたい投資家にとっては魅力的な材料となります。

また、商業施設や公共施設の充実によって入居者のニーズも高まり、空室リスクを抑えることにもつながる可能性があります。

注意点:価格が高止まりしやすい

一方で、再開発エリアの物件はすでに「人気のエリア」として価格に反映されていることが多く、利回りはそれほど高くないケースも少なくありません。新築マンションが中心になるため、購入価格が高額になる一方で、家賃は地域の相場以上には上がらないケースもあります。

また、開発が一段落したタイミングで需要が一巡し、以降の上昇余地が乏しくなることもあります。「これから発展するエリア」なのか、「すでに成熟したエリア」なのかを見極める視点が求められます。

開発のスピードと完成時期にも注意

再開発は、予定通りに進まないケースもあります。法的手続きの遅延や近隣住民との調整、資材価格の上昇など、さまざまな要因でスケジュールが変更されることがあります。投資を前提に物件を取得したものの、開発が何年も遅れて想定より家賃が伸びなかった、というケースもあり得ます。

特に完成前の段階で物件を購入する場合は、開発事業の信頼性や進捗状況について、十分な情報収集が欠かせないと感じます。

再開発に伴う競合の増加

再開発によって新築マンションが大量に供給される場合、同一エリア内での競合が激化することもあります。建物のグレードや立地で劣る物件は、家賃を下げなければ入居者が見つからなくなる可能性があるため、競争力の維持も重要になります。

将来的に供給過多になるリスクがないかどうか、周辺エリアの開発動向も含めてチェックしておくのがよいと思います。

長期的視点での検討が重要

再開発エリアでの投資は、タイミングと目的の明確化がカギになります。短期的な転売益を狙うのか、それとも賃貸運用による安定収入を目指すのかによって、選ぶ物件やエリアの選定も変わってくるはずです。

また、再開発による価値向上は一時的なものではなく、周辺のまちづくりが進むことで長期的な資産形成につながるケースもあります。交通インフラの整備や企業誘致など、中長期的な視点での成長余地を見て判断するのが良いと思います。

再開発エリアの成功事例と注目エリア

これまで再開発によって人気エリアに変貌した地域として、神奈川県の武蔵小杉や東京都の豊洲などが挙げられます。武蔵小杉はもともと工場地帯だったエリアですが、駅周辺の再開発によって高層マンションや商業施設が整備され、交通の利便性も格段に向上しました。結果としてファミリー層の人気が高まり、家賃相場や物件価格は継続的に上昇してきました。

同様に、豊洲エリアも再開発によって街全体のブランド力が向上し、大型商業施設や学校、病院などのインフラが整ったことで「住みたい街」としての地位を確立しました。こうした成功例を研究することで、今後の注目エリアを見極めるヒントにもなると思います。

投資タイミングとスケジュールの見極め

再開発は「始まる前」「進行中」「完了後」でエリアの魅力や価格が大きく変わってきます。投資家にとって重要なのは、どのタイミングで物件を取得するかという判断です。開発前の段階では価格が比較的安く設定されているケースがあり、将来的な値上がりを見込むことができますが、その分リスクも高くなります。

反対に、再開発が完了してからの物件購入は、利便性や安心感はありますが、価格が高止まりしており、利回りが低下する傾向があります。こうしたタイミングの見極めには、行政の都市計画や再開発事業の段階的な工程を理解することが大切です。

投資判断を支える情報収集

都市再開発は行政主導で進められるケースが多いため、市区町村のホームページや「都市計画マスタープラン」「再開発事業計画書」などの資料を確認することが重要です。これらの資料には、エリアの将来的な用途変更や施設誘致の計画などが明記されており、中長期的な投資戦略を立てる際の参考になります。

また、実際に再開発エリアで投資しているオーナーのブログや不動産会社のレポートなども有用です。現地の生の情報と公的資料をあわせて読み解くことで、単なる期待感だけでなく、現実的な判断材料を持てるようになります。

仮想シミュレーション:再開発エリアAでの投資ケース

たとえば、再開発が進行中のエリアAにおいて、2022年時点で中古ワンルームマンションを2,000万円で購入したとします。月額賃料が85,000円、管理費・修繕費などを引いた実質収入が75,000円とした場合、表面利回りは5.1%、実質利回りは4.5%前後になります。

その後、再開発が完了した2025年には、同様の物件が2,300万円で販売され、家賃は90,000円に上昇。これにより物件価格は15%上昇し、家賃も増えたことでキャッシュフローが改善する結果となります。このように、再開発による収益性の向上をイメージしながら、リスクとリターンのバランスを考えるのが大切だと思います。

まとめ

再開発エリアへの投資は、多くの期待とともにリスクも内包しています。表面的な開発ニュースに飛びつくのではなく、現地の状況や開発計画の中身、価格と利回りのバランスを丁寧に確認しながら進めることが大切だと感じます。特に初心者の方は、魅力的な情報だけで判断せず、地道な情報収集と現地調査を通じて、自分なりに納得できる投資判断をしていくことが大切だと思います。

reona: